中国では大学入試が終わると、離婚が急増する!?

実は、日本以上に学歴社会である中国。特に毎年6月に行われる高考(全国大学統一入試)は、一生を左右する大学入学試験であり、中国では大学ごとの試験がなく、この高考の試験結果のみで合否が判断されるため、競争は熾烈を極めます。
1030万人が受験した今年の高考も終わりましたが、今日はその高考が中国社会にもたらす思わぬ現象をご紹介したいと思います。(成都商報「『ついに高考が終わった、別れましょう!』高考終了後、これ以上耐えられない夫婦が一気に離婚」https://news.sina.cn/sh/2019-07-02/detail-ihytcerm0843070.d.html?from=singlemessage&isappinstalled=0を参考・引用)


記事によると、統計上、毎年高考が終わった6~9月に離婚の件数が急増するのだそう。子供の学業に影響が出ないよう、子供の前では夫婦のいざこざを「休戦」し、高考が終わるまではとにかく待とうとする夫婦が多いようです。
例えば、このようなケースが紹介されています。
「潔さんは生まれた時から幸せな家庭で育ってきたのだが、高校に上がった頃から両親がケンカすることが多くなった。彼女が部屋で勉強していると、壁一枚隔てたリビングから両親が言い争う声がしょっちゅう聞こえた。初めのうち潔さんは止めに入っていたが、両親は怒り冷めやらぬ様子で『こっちに構わず、部屋に戻って勉強してなさい!』と叱りつけた。
両親はケンカのたびに長いこと口をきかなくなり、同じ屋根の下に暮らしながら、赤の他人同士のように接した。家庭内には重々しい空気が流れ、両親が自分を大切に思っていることは分かるけれど、彼女は目に見えないプレッシャーのなかで窒息しそうだった。
殺伐とした3年間を過ごし、高考の数か月前には両親は全く口をきかなくなった。このように冷え切った家庭の中で潔さんは高考を迎えた。そして高考の最終日、両親はすぐに離婚手続きを済ませた。両親の離婚後、潔さんはかえってホッとした。これでもうケンカがなくなる、と。」
夫婦の離婚の原因は様々ですが、高考が終わるまで離婚を引き延ばす理由はいつも1つです。それは「子供が大学に入ればもう心配はいらない。もう子供のために我慢する必要はない!」というもの。つまり、全ては子供のためなのです。
記事の筆者は「中国人は『きちんとした家庭』に一種の執念を持っている」と分析しています。中国の有名俳優・李亜鵬(リー・ヤーポン)は、妻の王菲(フェイ・ウォン)と離婚をしましたが、声を詰まらせながらその当時を振り返り、「自分の子供にきちんとした家庭を与えてやれなかったのは、私の失敗だった。どんな理由があろうと、何と言おうと、とにかく失敗だった」と語っています。
このように、子供にきちんとした家庭を提供するのが、親の最も大切な務めだと中国人は考えているのです。
しかし、このような考えを子供側はどう受け止めているのでしょうか。記事では、子供の声もいくつか紹介されていました。
「ママはいつも『あなたのために、離婚はしない』と言っていた。そのプレッシャーは絶えず私を苦しめ、自分が生まれてきたことが間違いなのだと思うようになった。」
「両親が離婚するまで、全くそれを知らなかった。離婚を知ったときは大きな衝撃を受け、両親にずっと騙されていたように感じた。」
離婚したい親たちが子供の前で夫婦の「演技」をすることは、時に必要以上に子供を傷つけるのかもしれません。子供のことを思って自分の感情を押し殺すことは決して間違っていないけれど、人生の決断は自分で行うものであり、もしどうしても離婚しかない場合、子供にそれを告白することは隠すのよりも良いことかもしれない、と記事は結んでいます。

高考後の離婚の増加は、子供を何よりも重んじる中国人の価値観をよく表しているように思います。もちろん日本でもこのようなケースは多そうですが…
ちなみに、他のニュース記事では、近年このような現象が減ってきたとも報じられていました。(遼沈晩報 https://baijiahao.baidu.com/s?id=1638312220723179876&wfr=spider&for=pc&from=singlemessage&isappinstalled=0)
最近の人は離婚に対する抵抗がどんどんなくなってきており、子供もあまり家庭に固執せず両親に「離婚すれば?」と勧めることすらあるため、夫婦が高考まで離婚を我慢するという現象はもうあまり見られない、という声が紹介されています。
これは最近の人が、伝統的な家族像にこだわらなくなり、より自由に生きられるようになったという良いことなのか、それとも気軽に離婚してしまう人が増えたという悪いことなのか…日本人も考えさせられるニュースです。