【中国】パジャマで街中を歩くのは文明的でないのか?

――近頃、中国安徽省の地方都市・宿州市にて、ある投稿がネットで大炎上しました。宿州市地方自治体の公式SNSが、パジャマ姿で街を歩く女性たちの写真を「文明的でない行為」としてネット上にあげ、彼女たちの顔を晒したのです。そもそもパジャマ姿で街中を歩いては駄目なのか?その根本的な疑問を考察した中国のニュースをご紹介します。

(新京報 http://www.bjnews.com.cn/opinion/2020/01/22/677676.html を翻訳・編集)

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他人の間違いを指摘しようとして、結果的に自らが過ちを犯し謝罪することに――そんなケースがまた一つ発生した。

1月20日、安徽省宿州市の都市管理局は、その公式ウィーチャット(微信)アカウントを通じて「文明的でない行動を晒して、市民の素養を向上させる」と題し、「文明的でない」の市民たちの写真を公開した。そのうちの7人は「パジャマ姿で出かけている」ために晒されていた。身分証番号と名前にはモザイクがかけられていたが、顔ははっきりと写されており、多くが中年女性だった。

ネット上では、時に事の成り行きが面白い方向に転ぶ。他人を暴こうと思っていたら、結果的に自らが暴かれることになってしまった。宿州市管理局のこのやり方は、即座にネット民たちによる強烈な批判を巻き起こした。その日の夜、宿州市管理局は「謝罪声明」を緊急発表し、公式アカウントが送った内容とその方法はどちらも適当ではなかったと認めた。

確かに、文明ある社会を提唱するのは間違っていない。しかしまずはっきりさせなくてはならないのは、文明とは何かということである。パジャマを着て外に出るのは、本当に文明的でないのか?これには明文化された規定はないし、いわゆる公序良俗の中にも言及がない。

今回のような、ゆったりと大きくて分厚いパジャマ(訳者注:該当のうち1人の実際の写真を見ると、ピンクのバスローブ+ズボンのような服装でした)は、ボロボロで体を覆い隠せないというのでもないし、見た目が悪いというのでもない。いったいどこがいけないのか?

ちょうどよい比較として、上海や杭州などの大都市でも、パジャマ姿で街へ出ることは珍しいことではない。これらの都市でパジャマを来た若い女性が近所で犬を散歩させたり、買い物したりしているのをよく見かける。誰も止めないし、適切でないとも思わない。なぜ若い女性なら許されて、中年女性ならダメなのか?

今回の宿州市の事案において、一番の誤りは自ら文明を定義し、当然のようにそれを行使しようとした点にある。誰だっていつも綺麗にしていたいけれど、この人たちがパジャマ姿で出かけたのは、シャワーを浴びたばかりで散歩をしたり、寝る前にスーパーにちょっと買い物に出かけただけなのかもしれない。普通は外に長くいたりしない。それから、もしかしたら妊婦だという可能性もある。

世間一般で言われるように、法律が禁止していないことならばやってもいいはずだ。しっかりとしたパジャマを着て外に出ることは、言ってみれば市民の服装の自由だ。軽々しく制限してはいけない。

百歩譲って、これが文明的でない行為だったとしても、個人情報を晒すという手段を採るほどのことではない。肖像権とプライバシー権は個人の持つ最も基本的な権利であり、とても重要なものだ。違法な犯罪者ですら直接顔写真ではなくQRコードをネットにアップされているというのに、一般市民の日常の「ささいな行為」に対して、なぜ軽はずみにこのような罰が与えられなければならないのだろう?

近年、各地で文明的な社会を創り出そうとする政策が多く採られてきた。しかし、シンプルな基本理念を忘れて細部にこだわり過ぎた行動をとり、あまつさえ権利を行使できる合法的な範囲を超えて他者の権利を侵害するようになると、文明とは反対の方向へ進んでしまっていると言える。

文明的な都市を創り出すためには、まず公的機関が文明的に法に則って治めている姿を見せなければならない。そうして上から下へ手本を示すことが、文明社会に導くための正しい方策であろう。宿州市管理局は今回の事案から多くを学び、教訓にしていかなければならないと表明したが、他の多くの場所、多くの執行機関でもこれを戒めとしてほしい。